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  • Trek Checkpoint+ SL 5実走レビュー|TQ-HPR60の進化と42Cで見えた50Cの可能性

    2026年3月26日by NishimuraDaisuke
    フラットバー化とdi2化を施した、TQ HPR60モーター搭載のcheckpoint+ SL5
    フラットバー化とdi2化を施しグラベルを実走

    Checkpoint+ SL 5で、ホームコースである狭山湖外周のグラベルをじっくり走り込んできました。

    発表時のブログではスペックを中心に紹介しましたが、今回は「完全実走ベース」のインプレッションです。グラベルで実際に乗ってどう感じたのか、どこが良くて、どこに手を入れたくなったのか。嘘偽りない今の感触をパッケージしてお届けします。

    結論から言うと、このバイクは想像以上に「スポーティ」でした。単に楽をさせてくれるe-bikeではなく、乗り手の意思に鋭く応え、舗装路からグラベルまでを高い次元でこなす。まさに「真のオールラウンダー」と呼ぶにふさわしい一台です。

    目次


    【心臓部】TQ-HPR60:回すほどに気持ちいい進化

    TQ HPR60モーターとPraxisクランクのディテール
    TQ HPR60ドライブユニット。冷却フィンが追加され、効率と安定性が向上している

    TQ-HPR50からHPR60への進化。ハードの数値以上に感じたのは「制御ロジックの凄まじい進化」です。前作のDomane+ SLRを愛用する宮崎(早)も感嘆するほど、ペダリングに対するレスポンスが向上しています。

    特に、軽めのギアでケイデンスを上げていくクライミングでの伸びは抜群。アシストの「遅れ」が劇的に減り、自分の脚がそのまま強くなったような感覚でリズムがバシッと合います。低ケイデンスでグイグイ踏むよりも、「回して伸ばす」ロードバイク的な思想を感じる味付けです。

    クランク長165mmへのこだわり

    この「回す楽しさ」を最大化するため、Mサイズ標準の170mmから165mmに短縮しました。クランクを短くすることで、ペダリングの上下動(股関節の可動域)を抑え、身体への負担を減らしつつ回転のリズムを作りやすくしています。ミッドドライブモーターの気持ちよさを引き出すための、私なりの解答です。

    ゼロ発進も極めて自然。踏んだ瞬間にスッと進む感覚は、ハイエンドレースマシンのようです。巡航は20〜22km/hあたりでモーターと対話しながら走るのが最も心地よく、この「頑張りすぎない速さ」こそがe-bikeの醍醐味だと再確認しました。


    【骨格】身体の制約を「ジオメトリ」で解決する

    Checkpoint+ SL 5 フラットハンドルカスタム
    フラットハンドル化したコックピット。アップライトな姿勢でも前輪荷重を残せる設計

    個人的に最も重要なのが「ポジション」でした。私は首に持病があり、ドロップハンドルの深い前傾姿勢は身体的に厳しい。だからこそ、エンデュランス系のDomane+ではなく、グラベルツーリング系のCheckpoint+という選択が正解でした。

    Checkpointのジオメトリは、アップライトな姿勢を作っても前輪荷重をしっかり残せるため、楽なのにちゃんとトラクションがかかります。同じTQモーター搭載車でも、その性格は明確に異なります。

    比較項目 Domane+ SLR Checkpoint+ SL
    設計思想 速く走るための快適性 どんな路面でも破綻しない安定性
    ポジション ロードに近い前傾姿勢 アップライトで身体に優しい
    タイヤ幅 32〜38C前後 42〜50C(最大50C対応)
    得意なシーン 舗装路メインのロングライド グラベルメイン・キャンプ・冒険

    【快適性】IsoSpeedがもたらす「いなす」剛性感

    Checkpoint+ SL 5 のIsoSpeed構造
    シートチューブをしならせるIsoSpeed構造。不要な突き上げだけを逃がしてくれる

    Checkpointの代名詞「IsoSpeed」の効果もあらためて実感しました。シートチューブを独立させることで、フレーム剛性は保ったまま、縦方向のしなりで微振動を吸収します。

    グラベルを長く走っていると、脚より先に上半身に疲労が溜まることがありますが、その蓄積を劇的に抑えてくれます。スピードに乗った時ほど、この「剛性感があるのに入力がいなされる」バランスの妙を感じ取ることができます。


    【直進安定性】低速から高速まで破綻しないハンドリング

    Checkpoint+ SL 5 実走インプレッション グラベル走行シーン
    狭山湖周辺のグラベルでの実走シーン。低速でも安定し、高速域でもラインがブレにくいのが印象的

    特筆すべきは直進安定性の高さです。30km/hを超えるスピード域でもハンドルを取られる気配がなく、ライン維持が非常に楽。それでいて、低速での細かいコントロールが必要な場面でもふらつきません。

    暴れるバイクをがっちり抑え込むのではなく、ふんわり握っていても前輪が自然に前を向こうとしてくれる。この「どんな状況でも破綻しない」安心感は、ツーリングだけでなく街中の通勤でも大きな武器になります。


    【実走の壁】42Cで感じた限界と「ダダダダダ…」の正体

    Bontrager Girona Pro 42C タイヤ
    標準の42Cタイヤ。悪くないが、重量のあるe-bikeでは限界が見える場面も

    一方で、グラベル実走で見えてきた課題もあります。それが標準の42Cタイヤのキャパシティです。低速なら問題ありませんが、速度が上がると細かい連続入力がタイヤで処理しきれなくなり、「ダダダダダ…」という高周波な振動が伝わってきます。

    視線がブレ、手の疲労が増し、リア側では明確な底付き(リム打ち)の感触もありました。e-bikeは追加車重があり、かつ速度を維持しやすいため、通常のグラベルバイクよりもタイヤへの負荷が確実に大きいのです。グラベルを高速で走るなら「42Cで十分」ではなく、もう一段の余裕が必要だと確信しました。

    🚩 実走で見えた課題と「50C化」への期待効果
    現状(42C)の課題 改善後の期待(50C+クッシュコア)
    連続する入力での「ダダダダダ…」 高周波振動の消去・路面追従性の向上
    視線のブレ・手の疲労蓄積 安定した視界と上半身の疲労軽減
    リア側の底付き(リム打ち) リム保護と低圧運用による絶対的安心感

    【最適解】50C+クッシュコア、そして現在のセットアップ

    この限界を突破するための次なるステップは明確です。「50C+クッシュコア」の導入です。

    Aeolus RSL 37Vのような内幅の広いリムに50Cを組み、低圧で運用する。舗装路でのロード的な軽快さより、路面追従性を上げ、視線を安定させ、グラベルを舐めるように走り抜ける性能。これこそが、このバイクのポテンシャルを引き出す「答え」だと思っています。

    現在の私のセットアップは以下の通り。グラベルロードというよりは、少しMTB寄りに振っています。

    • ハンドル:Ritchey Comp Coyote(アップライト姿勢重視)
    • ペダル:Wolf Tooth トレイル向けSPD
    • シューズ:Shimano GE700(しっかり支えられる安定感)

    さらに「Reverb AXS XPLR(ドロッパーポスト)」を導入すれば、グラベルの自由度はさらに広がるでしょう。シングルトラックも楽しめそうです。


    【運用】バッテリーと上手に付き合うリアルな話

    TQレンジエクステンダー
    レンジエクステンダー(160Wh)。走行距離だけでなく、精神的な余裕も生む

    e-bikeで避けて通れないのがバッテリー問題です。このバイクは軽量なため、万が一バッテリーが切れても「自力で漕いで帰る」ことが現実的に可能ですが、やはり疲労した後半でのガス欠は避けたいもの。

    その意味で、レンジエクステンダーは強くおすすめします。走行距離の余裕は、そのまま精神的な安心感に直結します。また、アシストに頼り切るのではなく、平地では自力で回すなど3つのアシストモードを「どう設定し、どう使うか」を自分でコントロールする楽しさも、このバイクの面白い側面です。


    まとめ:自分色に「育てていける」一台

    Checkpoint+ SL 5は、乗り手の身体的な制約(私の場合は首の持病)を受け入れながら、走りの質を一段引き上げてくれるバイクです。ロード、グラベル、日常。そのすべてを「ちゃんとしたレベル」で成立させてくれます。

    • 「どんな状況でも破綻しない」高い基本性能
    • 「50C化やカスタム」を受け入れる大きな余白
    • 「乗り手の意思」でキャラクターを変えられる柔軟性

    完成されたパッケージでありながら、乗り手のライフスタイルに合わせていくらでも「いじり倒していける」。今回の試走で、その方向性がはっきりと見えました。

    身体や体力に不安があるけれど走りは妥協したくない方、根性はないけど本気でグラベルを楽しみたい方。メーカー在庫も各サイズ減ってきています。ぜひ、バイクプラス各店でこの「化ける可能性」を秘めた一台をチェックしてみてください。

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    この記事を書いた人

    BikePlusのスタッフ・専門家として、日頃の接客や実体験をもとに記事を執筆しています。

    西村 大助(Nishimura Daisuke)

    西村 大助(Nishimura Daisuke)

    バイクプラス共同創業者ショップ経験30年、MTB好き歴38年

    1980年代後半にMTBに熱中し、アルバイト時代に老舗アウトドアブランドの自転車売場を担当。この頃に自転車整備士資格を取得し、本格的に自転車業界でのキャリアを歩み始める。2000年には外資系アウトドア専門店で専任メカニックとして勤務。その後、国内大手アウトドアメーカーの直営店で自転車売場を担当し、自転車取り扱い店舗拡大のためのスタッフ育成や販売体制の基盤づくりに貢献。 2003年には米国バーネット・バイシクル・インスティチュートへ留学し、体系的な整備技術を修得。帰国後は専門誌での記事連載やメンテナンスDVD出演などを通じて情報発信にも携わる。2007年にバイクプラスを共同創業し、全7店舗の立ち上げに関わる。 現在はオンラインストア運営やブログを中心に活動し、「専門性は高く、でも初心者にとって敷居は低く」を信条に、自転車のあるライフスタイルを提案している。

    専門/得意分野

    • マウンテンバイク/ロードバイク/クロスバイク/eバイクの販売整備およびeMTBのカスタム
    • 米国メカニックスクールで学んだ体系的な整備技術
    • ショップ運営とスタッフ育成
    • サイクリング文化の普及活動
    • e-MTBでのトレイル/グラベルライド/キャンプ

    保有資格

    • 1997年 自転車組立整備士合格
    • 1997年 自転車安全整備士合格
    • 2003年 Barnett Bicycle Institute Master Mechanic 3.0 Certified

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