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  • MTBの走りが変わる!フリーボディのノッチ数アップグレードの効果とは?

    2020年3月21日by 西村大助

    ホイールやハブのアップグレードはMTBのカスタマイズの中でもかなりおすすめです。

    今回は、フリーボディのアップグレードに注目。e-MTBのペダリングパワー(とアシストパワー)をよりスピーディに後輪の回転へとつなげるためにフリーボディのノッチ数を増やしてみました。ノッチ数を増やすカスタマイズがどれほどのメリットがあるか!詳しくご紹介します。


    ノッチ数とは?

    ピストバイクを除き自転車の後輪は一般的にこぐのをやめた時にクランクとチェーンの回転が止まり、後輪は回転をそのまま継続する仕組みになっています。(フリー構造と呼びます)。

    チェーンの回転を後輪へと伝える歯車「カセットスプロケット」が取り付けられているボディー(フリーボディと呼ぶ)部分が、ソケットレンチなどのラチェット構造と同じような仕組みになっているのです。

    右に回すとギアが掛かりネジが締まっていき、左に回すとギアが掛からずネジも緩まず柄だけが左回りに空転しまた締めやすい角度に柄が戻るという構造で、素早くボルトを締めることができるあの工具です。

    ラチェットレンチもフリーハブも、ノッチ数が多いほど複雑な構造になっていて高額なものになっていきます。それだけイイということです。

     


    ノッチ数が多いとなぜいいの?

    ラチェットレンチは、ノッチ数が多ければ多いほどスペース的に制限があり小さな角度しか動かすことができないスペースでも確実にボルトを締めていくことができます。

    自転車のフリーハブもラチェットレンチのノッチ数と同じで数が多い方が効率がよいのです。ペダリングを停止している状態から再開した時に、より大きい角度クランクを回さないと後輪が回り始めないよりも、クランクのわずかな回転で瞬時に後輪に力を伝達できる方が、様々な場面で乗り手に優位に働きます。

    特に軽いギア(カセットスプロケットの大きいギア)になればなるほど、ノッチからノッチまでの角度を移動するためにより多くの距離を移動しなければならないので、ロードバイクよりも軽めのギアを多用するマウンテンバイクでは、ノッチ数が多い方が断然有利です。

    例えば、特に軽いギアを使う登りでの段差越えの時に段差までの距離とペダルを踏み込むタイミングを調整するためにペダルをあえて逆回しに戻してから踏み込んだりする時や、サドルから腰をあげる(ペダルに両足で立つ)スタンディングの姿勢から再びペダリングをする時などに、即座にギアが噛み合ってくれた方がロスが少ないだけでなくタイミングが非常に掴みやすいのです。

    そして、小刻みに逆回転を繰り返すような動作は、トレイルライド初心者であればあるほど多くなる傾向がありますので、ノッチ数の多いハブで手組みしたホイールや、ノッチ数の多い完組ホイールに交換することは、実は決してライドスキルがある人だけにオススメのカスタマイズではありません。マウンテンバイクにハマりつつあるエントリーホビーライダーにもかなりオススメです。

    また、すでに高速で後輪が回転しているダウンヒルのような状況でさらにペダリングをして加速させたい場合にもノッチ数が多い方が有効です。BMXレースのスタートダッシュ、トライアルのスタンディング停止状態からのアクションも、踏み込み時の遊びが少ないハブが好まれます。

     


    ノッチ数の違いを数字でみてみよう

    エントリーモデルほどノッチ数が少ないのですが、クロスバイクやロードバイクも含めて18ノッチくらいがもっとも一般的で、シマノのMTBコンポーネントの上位モデルであるXTRやXTになると36ノッチになります。

    ちなみに、一般的な18ノッチの場合、ギア比1:1の場合でクランクを20度回す必要があり、リアのギアが50Tフロントチェーンリングが30T(ギア比0.6)という組み合わせになるとなんと33度くらいペダルを踏み込んでからでないとギアが噛み合いません。

    今回ノッチ数を変更したボントレガーの「LINE COMP 30ホイール」は一般的な18ノッチの3倍にあたる54ノッチ。これはフロントとリアのギア比が1:1なら6.6度、先ほどのギア比0.6という組み合わせだと11度くらいの踏み込みでギアが掛かります。72ノッチのクリスキングでは1:1のギア比で5度、ギア比0.6という組み合わせでも8度ちょいでギアが噛み合います。

    ボントレガーのハイエンドMTBホイールである「LINE PRO 30」の場合はノッチ数が108!! 煩悩の数だけノッチがある(笑) このホイールの場合だと1:1のギア比で3.3度、先ほどのギア比0.6という組み合わせでもわずか5.5度くらいの踏み込みでギアが噛み合います。

    単純にノッチ数が倍になるとギアがかかるまでの踏み込み角度が半分になるわけなんですが、こうやって見比べると随分と違うことがわかります。

     


    BontragerのRapid Drive 54は手軽に108ノッチに変更できる!

    最近よく乗っているTREKのe-MTB「Rail 9.7」には、Rapid Drive 54のハブを使っている「Bontrager Line Comp 30」というホイールがついています。

    RAPID DRIVE 54T

    こちらのハブはポール(歯止め)とスプリングを追加するだけでノッチ数を倍増できる頼もしいハブ!!

    BOSCHパフォーマンスラインCXのeMTBモードは、ペダリングに対して素早い反応でアシストが掛かるというのが最大の特徴で、欧米でかなり評判のユニットですし、実際に乗っていてもその俊敏さに大きな不足を感じてはいません。

    でも、アシストのeMTBモードを使いながら、なかなかのテクニカルな登りをローギアで登っていてペダルを逆回転してギャップ越えのタイミングを見計ったりする場面では、漕いだ瞬間からギアが掛かる瞬間までのタイムラグをもう少し縮められないか...と感じることもありました(eMTBが不慣れだったこともありますが)。

    そこで、以前から使っていたRapid Drive 108Tを使用したホイール「Bontrager Line Pro 30」の掛かりの良さ、遊びの少なさをe-MTBにも投入してみたくなったわけです。

    そのまま車輪を付け替えるだけで良い気もするのですが、「Line Pro 30」はカーボンリムということもありアシストのパワーに耐えられるか不安でもあったため、Rail9.7に標準で装備されているアルミリムホイールの「Line Comp 30」のハブを108ノッチにチューンナップすることにしたわけです。何しろこのハブはポールとスプリングを追加するだけで108ノッチ化が可能なので。

    そうすれば、軽いギア側でのレスポンスがもっとよくなるはずだ!!!!!!

    ...と言うか、ハブを買ってホイール組みをせずにリーズナブルにノッチ数を倍増できるならやっておくに越したことはない!!

    ポールとスプリングがこれ。グレードアップにしてはかなりのお手頃価格です。

    フリーボディを取り外すと下の写真のような状態。

    ポールが3つ入っていて、あと3つポールを仕込むことができるようになっています。

    こちらがポールとスプリングを取り付けた後の状態です。6つの爪が同時にホイールの歯かかるわけではなくて、最初の3つがかかるポイントが54、新たに取り付けた3つがかかるポイントが54で計108という計算です。

    たったこれだけの作業で108ノッチ化が可能ですので、「Bontrager Rapid Drive 54T」のハブを使っているホイールであれば、あんまりお金をかけることなくショップでチューンナップが可能です!

    「Bontrager Rapid Drive 54T」が搭載されたオススメMTBには、Supercaliber 9.7Slash 8Remedy 8Fuel EX 8、などがあります。

    ちなみにDT SWISSのスターラチェットも同様のカスタマイズが可能です。ただ、スターラチェット自体がとても高価なので、Bontragerの「Rapid Drive」ほどの割安感はありません。

     


    フリーハブのノッチ数こだわってみませんか?

    さて、54ノッチから108ノッチに改造したe-MTBですが、職場の行き帰りでの感触としてはなかなかのモノです。

    ただでさえアシストの反応の速さとパワーがお気に入りのBOSCH パフォーマンスラインCXのeMTBモードですが、ハブをカスタマイズしたことでさらに掛かりのタイミングがよくなりました。狙い通り軽いギアほど顕著です。速くトレイルに行って試してみたいー!!

    今回ご紹介したような方法ができるハブもありますが、MTBのハブのノッチ数にこだわってクリスキングなどのハブを使ってホイールを手組みしたり、108ノッチある「Bontrager Line Pro 30」のような完組ホイールに交換してみたりするカスタマイズもオススメです!

    ハブはあまり注目されないパーツですが、トレイルライド好きに言わせればハブのアップグレードはトレイルライドを楽しむ上でかなりおすすめの選択です。テクニック的にうまくライド出来ないな...とお悩みの方、せめて頭の片隅に入れておいていただければ。

    ノッチ数の違いがどれだけライドをよくしてくれるか体感してみたい方は、所沢店にぜひ試乗にきてみてください。試乗車のクロスバイク(20Tくらい?)とスタッフバイクのFuel EX(108T)やRail9.7(108T)を比較すると一目瞭然です。

    ということで、マウンテンバイクのホイールやハブなどのご相談はバイクプラス各店にぜひお任せくださいませ。

     


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    この記事を書いた人

    BikePlusのスタッフ・専門家として、日頃の接客や実体験をもとに記事を執筆しています。

    西村 大助(Nishimura Daisuke)

    西村 大助(Nishimura Daisuke)

    バイクプラス共同創業者ショップ経験30年、MTB好き歴38年

    1980年代後半にMTBに熱中し、アルバイト時代に老舗アウトドアブランドの自転車売場を担当。この頃に自転車整備士資格を取得し、本格的に自転車業界でのキャリアを歩み始める。2000年には外資系アウトドア専門店で専任メカニックとして勤務。その後、国内大手アウトドアメーカーの直営店で自転車売場を担当し、自転車取り扱い店舗拡大のためのスタッフ育成や販売体制の基盤づくりに貢献。 2003年には米国バーネット・バイシクル・インスティチュートへ留学し、体系的な整備技術を修得。帰国後は専門誌での記事連載やメンテナンスDVD出演などを通じて情報発信にも携わる。2007年にバイクプラスを共同創業し、全7店舗の立ち上げに関わる。 現在はオンラインストア運営やブログを中心に活動し、「専門性は高く、でも初心者にとって敷居は低く」を信条に、自転車のあるライフスタイルを提案している。

    専門/得意分野

    • マウンテンバイク/ロードバイク/クロスバイク/eバイクの販売整備およびeMTBのカスタム
    • 米国メカニックスクールで学んだ体系的な整備技術
    • ショップ運営とスタッフ育成
    • サイクリング文化の普及活動
    • e-MTBでのトレイル/グラベルライド/キャンプ

    保有資格

    • 1997年 自転車組立整備士合格
    • 1997年 自転車安全整備士合格
    • 2003年 Barnett Bicycle Institute Master Mechanic 3.0 Certified

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