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  • 「帽子タイプ」で本当に大丈夫?自転車ヘルメットの安全基準と命を守る正しい選び方

    2024年12月14日by 所沢バイクプラス

    自転車を趣味にして40年、そして仕事にして30年になる西村です。今朝、「やっと動いたか…」と思うようなニュースが入ってきました。その内容は以下の通りです。

    2024年12月10日と11日、消費者庁が「自転車用ヘルメットを標榜する商品」に関する措置命令を3社に対して実施しました(消費者庁HP)。具体的には、欧州の自転車ヘルメット安全規格に適合していると宣伝していた製品が、実際にはその基準を満たしていなかった、というものです。

    皆さんは普段、街中で自転車に乗る際に使っているヘルメットが本当に安全か、改めて考えたことはありますか?

    市街地での自転車事故の多くは、自動車や大型車両との接触が原因です。衝撃で斜めに吹き飛ばされたり、横転して頭を強く打ち付けるケースが主ですが、中でも側面や斜め方向からの衝撃は、深刻な頭部損傷につながるリスクが高いと言われています。

    こうしたリスクを軽減するためには、ヘルメットの安全性能を正しく理解し、自分に合った製品を選ぶことが重要です。あなたが今使っているヘルメットは、本当に命を守る備えができているでしょうか?

    この記事では、主要なヘルメットの安全規格(EN1078、JIS、CPSC、AS/NZS)や、実際の事故を再現した試験で注目されるバージニア工科大学の評価基準を詳しく解説します。安全なヘルメット選びの参考になれば幸いです。


    都市部の事故とヘルメットの必要性

    都市部で発生する自転車事故の主な原因は、車両との接触です。特に以下のようなシチュエーションが多く見られます:

    • 側面から車が衝突し横転する事故
    • 自動車のドアが開き衝突して転倒する事故
    • 走行中の車に巻き込まれそうになり転倒する事故

    これらの事故では、頭部に強い衝撃が加わり、場合によっては命に関わる重大な損傷を引き起こします。適切なヘルメットを選ぶことで、こうしたリスクを大幅に軽減できます。


    主要な安全規格の試験内容と違い

    以下の表は、主要な安全規格がどのような試験を行っているかを整理したものです。

    試験項目 EN1078
    (欧州規格)
    JIS
    (日本工業規格)
    CPSC
    (アメリカ規格)
    AS/NZS
    (オーストラリア・ニュージーランド規格)
    バージニア工科大学
    想定事故状況 低速での転倒や衝突を想定しています。欧州では自転車の安全な走行環境が整備されており、車との接触事故が少ないため、試験条件は比較的緩やかです。 中速での転倒や衝突を想定しています。日本の市街地での事故状況を考慮した試験内容となっています。 高速走行中の衝突を想定しています。自転車の死亡事故が多いアメリカの交通事情に合わせた厳しい試験基準です。 中速から高速での衝突を想定しています。多様な事故状況に対応する試験内容です。 実際の事故状況を再現した試験を行っています。現実的なシナリオに基づく評価が特徴です。
    衝撃減速度(g値) 250g以下 300g以下 300g以下 250g以下 詳細な数値を計測し評価しています。
    線形加速度対応 一部対応 一部対応 対応 対応 完全対応
    回転加速度対応 未対応 未対応 一部対応 一部対応 完全対応

    特に、欧州CE規格のヘルメットを選ぶ際は、自転車用ヘルメットの安全規格であるEN1078と「EN812」(軽作業用保護帽)を混同しないよう注意が必要です。EN812は自転車用ではなく、衝撃吸収性能が十分でないため、自転車事故時の頭部保護には適していません。CEマークしかなくEN1078に関する記載がない場合は特に要注意です。


    バージニア工科大学の評価基準が示すもの

    バージニア工科大学の試験内容 バージニア工科大学では、以下の3つの衝撃に対応する性能を評価しています(こちら):

    1. 衝撃吸収性能(g値)

    • ヘルメットが頭部に伝わる衝撃をどれだけ吸収できるかを数値化します。
    • 衝撃が強いとそれだけ脳震盪や脳損傷のリスクが高くなりますが、すべての規格が同じ条件でテストしているわけではないので数字だけで判断せず複合的に見極める必要があります。

    2. 線形加速度

    • 垂直方向からの衝撃、例えば地面に頭をまっすぐ垂直に打ち付けたときの力を評価します。
    • 垂直に頭を打ち付けるのは現実的な条件とは言えませんが、衝撃の力が直接頭部に伝わるのを、ヘルメットがどれだけ分散させられるかの指標として使われます。

    3. 回転加速度

    • 頭が斜めにぶつかった際の「ひねるような力」が脳に与える影響を測定します。
    • 回転衝撃は脳内部に深刻なダメージを与えるため、これを試験することはとても意義があります。これを軽減する設計のヘルメット(例: MIPS、WaveCelなど)が非常に重要です。

    市街地エリアで発生する事故でのリスクを最もカバー

    • 車両との接触事故のような多方向の衝撃をもっとも考慮している。
    • 実際の事故条件を再現した試験を行うため、とても信頼性が高い。


    安全なヘルメットを選ぶポイント

    1. 規格を確認

    EN1078よりかは、AS/NZS、CPSC、バージニア工科大学で高評価の製品を選ぶことがまず第一歩です。これらは、低速だけでなく中速から高速衝撃まで幅広いシチュエーションを想定して試験が行われています。

    特にバージニア工科大学の評価では、実際の事故条件に近いシミュレーションを行い、衝撃吸収性能だけでなく回転加速度への対応も評価されているため、市街地での使用に非常に適しています。

    2. 回転衝撃への対応

    近年、多くのヘルメットがMIPSやWaveCel(多方向衝撃保護システム)を搭載しています。MIPS搭載ヘルメットなら、斜め方向の衝撃や回転加速度の影響を軽減できます。これに加え、WaveCel搭載モデルは、さらなる衝撃吸収性能を発揮するため、高速走行やスポーツ用途にも適しています。

    3. フィット感

    安全なヘルメットは、頭にしっかりフィットし、ずれにくい設計であることが重要です。試着時にはストラップを調整し、頭を前後左右に動かしても安定しているか確認しましょう。

    多くのヘルメットにはサイズ調整用のダイヤルや交換可能なパッドが付属しており、これらを活用することで、より安全かつ快適に着用できます。

    4. ライフスタイルに合わせた選択

    • 通勤や通学:短距離の移動では軽量で通気性の良いものが最適です。若年層ではスピードを出し過ぎてコントロールを失うケースが多いため、後頭部や側頭部をしっかり保護するデザインを選びましょう。
    • スポーツや高速走行:エアロ効果が高く、側頭部や後頭部の保護性能に優れたヘルメットが最適です。バージニア工科大学で高評価を得たモデルや、MIPS搭載モデルを検討してください。

    5. 購入は避けておきたいヘルメット

    • 野球帽のような長いバイザーが帽体と一体整形で取り外しできないものは、転倒時に首を激しく捻る可能性があり危険です。簡単に外れるバイザーが付いた製品かバイザーがないタイプを選びましょう。
    • 顎紐が簡単に取り外し可能なタイプは、衝突時の衝撃でヘルメットが脱げてしまう可能性があり大変危険です。このような製品は選ばないようにしましょう。
    • 衝撃吸収素材が薄いものや、頭部全体を覆わないもの、特に後頭部や側頭部が無防備なデザインは避けるべきです。

    消費者庁の注意喚起「自転車用ヘルメットにおける外形上の主な注意点」[PDF]を確認し、安全性をしっかり確保した製品を選びましょう。

    6. 安全なヘルメットを選ぶためのポイント

    安全なヘルメットを選ぶには、以下のポイントを押さえておくことが重要です。

    1. 安全基準マークの確認

    SGマークやJCF公認/推奨マーク、EN1078、CPSCなど、自転車用ヘルメットの安全基準をクリアした製品を選びましょう。これらのマークが付いている製品は、視界確保試験、衝撃吸収試験、顎紐の強度試験をクリアしています。特にEN1078やCPSCなどの海外安全規格は、ヘルメット内側に小さな文字で書かれたシールが貼られている場合がほとんどですので、注意してチェックしましょう。

    2. 適切なサイズとフィット感

    ヘルメットの内部形状やサイズは製品ごとに異なります。試着を行い、自分の頭にしっかりフィットするものを選ぶことで、脱げにくくなり、転倒時の安全性が向上します。

    3. 信頼できる製造・販売元の製品を選ぶ

    製造元や販売元が明確で、問い合わせ先が表示されている製品を選びましょう。インターネット通販で購入する場合は、販売元のレビューや製品情報をしっかり確認し、信頼性の高いブランドを選ぶことが大切です。ロードレースの世界やマウンテンバイクレースの世界で定評のあるブランドがオススメです。自転車専門店に足を運ぶのが1番良いでしょう。

    4. ヘルメットを正しく使用する

    • ヘルメットの前後を確認し、正しい向きで着用する。
    • 顎紐をしっかり調整し、指が1本入る程度の余裕を持たせる。
    • ヘルメットの前端が額の中央に来るように位置を調整する。

    適切なヘルメットを選び、正しく使用することで、自転車事故から頭部を守ることができます。安全性を第一に考え、安心で快適なサイクリングライフを楽しみましょう。


    まとめ:命を守るためのヘルメット選び

    命を守るためのヘルメット選びは、軽視できない重要なテーマです。各安全規格にはそれぞれ異なる特徴があり、それらを理解した上で自分に合った製品を選ぶことが、快適で安全なサイクリングライフの第一歩です。特に市街地エリアでの使用を考えると、走行中の車両との衝突によるリスクに最も適した基準を満たす製品を選ぶことが求められます。

    具体的には、CPSC(アメリカ規格)やAS/NZS(オーストラリア・ニュージーランド規格)の基準をクリアした製品が、市街地のように複雑な交通環境で発生しやすい事故リスクに対応しており、信頼性が高いとされています。さらに、バージニア工科大学が行っている評価試験では、実際の事故状況に近い条件を再現してヘルメットの安全性を検証しており、高評価を得ている製品は特に推奨できます。これらの基準を満たした製品は、頭部を守るための衝撃吸収性能や、多方向の衝撃に対応する設計が特徴で、もしもの際に大きな助けとなるでしょう。

    一方で、EN1078(欧州規格)も一定の安全基準をクリアしているため、適切に選べば日常的な使用には十分と言えます。しかし、市街地エリアで特に発生しやすい車両同士の接触事故や斜め方向からの衝撃に対しては、少し性能が不足している可能性があります。そのため、多方向からの衝撃を想定した設計が施された製品を選ぶことが、より安心です。

    ヘルメットを選ぶ際には、安全規格の確認だけでなく、フィット感や使用目的に応じたデザイン性も考慮することが重要です。例えば、通勤や通学に使用する場合は、軽量で通気性の良いものを選ぶと快適に使えます。一方で、スポーツ用途や高速走行を楽しむ方は、エアロ効果の高いデザインを意識しつつMIPS(多方向衝撃保護システム)やWaveCelを搭載した製品がおすすめです。

    安全なヘルメット選びに迷ったら、自転車専門店に足を運ぶことを強くお勧めします。専門知識を持ったスタッフが、あなたのライフスタイルや用途に合った製品を一緒に選んでくれるでしょう。また、試着を通じてフィット感を確かめることで、より安心してヘルメットを使用できます。

    最後に、ヘルメットは命を守るための最前線の装備です。適切なヘルメットを選んで、安心・快適なサイクリングライフをお楽しみください。そして、事故を未然に防ぐためにも、周囲の交通状況に注意を払いながら、安全運転を心がけてください。

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    この記事を書いた人

    BikePlusのスタッフ・専門家として、日頃の接客や実体験をもとに記事を執筆しています。

    西村 大助(Nishimura Daisuke)

    西村 大助(Nishimura Daisuke)

    バイクプラス共同創業者ショップ経験30年、MTB好き歴38年

    1980年代後半にMTBに熱中し、アルバイト時代に老舗アウトドアブランドの自転車売場を担当。この頃に自転車整備士資格を取得し、本格的に自転車業界でのキャリアを歩み始める。2000年には外資系アウトドア専門店で専任メカニックとして勤務。その後、国内大手アウトドアメーカーの直営店で自転車売場を担当し、自転車取り扱い店舗拡大のためのスタッフ育成や販売体制の基盤づくりに貢献。 2003年には米国バーネット・バイシクル・インスティチュートへ留学し、体系的な整備技術を修得。帰国後は専門誌での記事連載やメンテナンスDVD出演などを通じて情報発信にも携わる。2007年にバイクプラスを共同創業し、全7店舗の立ち上げに関わる。 現在はオンラインストア運営やブログを中心に活動し、「専門性は高く、でも初心者にとって敷居は低く」を信条に、自転車のあるライフスタイルを提案している。

    専門/得意分野

    • マウンテンバイク/ロードバイク/クロスバイク/eバイクの販売整備およびeMTBのカスタム
    • 米国メカニックスクールで学んだ体系的な整備技術
    • ショップ運営とスタッフ育成
    • サイクリング文化の普及活動
    • e-MTBでのトレイル/グラベルライド/キャンプ

    保有資格

    • 1997年 自転車組立整備士合格
    • 1997年 自転車安全整備士合格
    • 2003年 Barnett Bicycle Institute Master Mechanic 3.0 Certified

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